こんなん出ました! 再稼働の差し止め判決

2014年5月25日日曜日

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今回は創業準備とは関係ないですが、歴史的な出来事の記録として。

先週の水曜日、福井地方裁判所での「大飯原発の再稼働差し止め判決」(全文はこちら)は大きな話題となりました。

このくだりなんかホント、感動的。ちょっと長いですが引用します。
9 被告(=関西電力株式会社)のその余の主張について
「被告は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。 
このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、 豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。」

”当裁判所は考えている” ・・・ 私もそう思います!!

この機会に新聞各社の論調を比較してみると興味深いです。
(いずれも、5/25 12:00時点でリンクは有効)

読売新聞《社説:不合理な推論が導く否定判決
産経新聞《主張:非科学、非現実的判決だ
朝日新聞生存と電気代、同列許さず
中日新聞《大飯原発判決 浜岡訴訟に追い風

せっかくですから要人お二人、しかも紛らわしいお名前の方々の対照的なコメントも挙げておきましょう。

 自民党の菅(すが)氏「再稼働方針は不変」

 民主党の菅(かん)氏「大変素晴らしく、画期的判決」

立場を鮮明にすることが言論人としての責任ある行動だと思いますので、とても良い状況だと思います。 それが「政党・政治家としての理念」とか「報道機関としての立ち位置」というものですから。

(2012年6月に政府が再稼働方針を出したときの政権与党は民主党だったわけですが、自民党の皆さんも従来の主義・主張にとらわれず、状況の推移を見て柔軟に対処していただきたいものです)


あらかじめ申しておきますと、私は原発廃止派。「即時廃止か否か」というような話はともかく、

「原発に依存しない社会に向けて、みんなで全力を尽くしましょう。政治家さんと官僚さん、自治体職員さんは、そのサポートをお願いしますよ派」

・・・ですので、判決を支持します。強く支持。
(でも、すぐに関電は控訴しちゃったんだよなー

いま日本では、定期点検のタイミングということもあり原発は1基も稼働していません。これが安全で平和な社会というものじゃないの? と、素朴に思うんですけどねえ。


(このくらいの節電、何でもないぜ! 〜 冬はけっこう寒かったけど)


ただし、「そうはいっても○○○なんだから、再稼働すべきだ」という方が多数いらっしゃることもまた、事実としては認識しています。

この「○○○だから」の部分を推測してみますと、こんな感じなのでしょうか。

・そうはいっても電力料金が高止まりすれば、自社工場の生産にダメージが出るから。従業員への給与も下げざるを得なくなるから(例:製造業の経営者さん)
・そうはいっても発電所内の作業員に向けた商売をやっている商店は、営業再開できないから(例:売店のお母さん)
・そうはいっても再開しないとなると、転職を考えなければならないから (例:関電から委託を受けた作業員さん)

といったあたりになるかと思います。すべて推測ですよ、念のため。

でも結局のところ、影響が出るといったって「お金の話」しか浮かんでこないわけなので、現時点でまだ開業できてないヒト(新規事業への出資者さんのおかげで生活できている身)が言うのもナンですが

「そんなん、どうとでもなるんちゃうの?」

という気がします(やばい、どこかから猛烈な抗議が来るかな・・・。あくまで個人的な感覚にすぎないのですが)

小泉純一郎さんも以前に言っていたように
「原発をやめるという決断さえすれば、どうすればいいかという実践的な知恵は、ちゃんと出てくる」
というのは真実だと思います。どんなテーマであれ。私自身、起業プロセスにおいて「決めちゃえばなんとかなる感」を実感中。

実際問題、今の日本っていうのは「お金(日本円の金融資産)」が有り余っているのが現実ですから、

電力の流れじゃなくお金の流れのほうが変われば(具体的な手順はともかく)済む話なんじゃないかと思っています。

(05/27追記)ここでは、原発を稼働させなかった場合の関西電力さんの新たな負担、たとえば
 ”今夏のピーク時に向けた節電の呼びかけを、いっそう強めないといけない” とか
 ”中国電力や四国電力から、余剰電力を融通してもらわなきゃいけない” とか
そういった点は除外しています。
→そらもう、どんどんやってください! 協力しますから!って感じです。

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さらにもうひとつ、関西電力という株式会社さんとしては
・火力発電所へのシフトにより発電コストが高止まりしたままだと、株主への配当もできないままだし、従業員への給与・賞与も下がって、今後の士気に影響が出てしまう。協力会社さんにも、満足な対価が支払えない(品質の維持が保証できない)
という価値判断もあろうかと思います。これは「株式会社としての正義」そのものですので、とやかく言っても仕方がないところ。

原発という、生産コストで見れば安価な(=資本の論理と親和性の高い)動力源を止められない主たる原因は

「日本では東京電力や関西電力といったメガ企業の影響力が強すぎ、複数企業での競争原理が働いていないから。ユーザーから見て選択の余地がないから」

ということじゃないかと思っています。

仮に、現政府も電力会社(本件で言えば関西電力株式会社)も再稼働方針を変えないとすれば、私のように原発をストップさせたい立場としては

自然エネルギーによる電力生産を推進する会社をみずから興すか、または出資・投資による支援を行う

ということを「うねり」として起こすしかないんじゃない? というのが今の印象です。ものすごく時間がかかる話だとは思いますが。

政府による固定価格買取制度が機能しているうちに、そうした自然エネルギー(再生可能エネルギー)による電力づくりを目指す事業体が少しでも増えてほしい、と強く願っております。

岡山県真庭市の地産エネルギーパークとか、市民出資によるエネルギーファンドの組成とか、先進的な取り組みは地方から広がってきてはいますが、まだまだこれから。啓発のためのこうしたワークショップなども、どんどん応援していきたいです。

(05/28追記)直近の動きとしては「電力自由化」のインパクトにも注目すべきなのだと思いますが、こちらの分野には疎いので今回は触れません。

今回の判決を読んで、
「豊かな国土があり、そこに国民が根を下ろして生活していることこそが国富である」
という理念を共有するわたくしも、早く観光サービス業で大きな成果を上げて、再生可能エネルギーの普及に関わる次の事業への展開を急ぎたいと思った次第。

脱・原発に向けての具体的なアクションを起こそうとしている方々を強く勇気づけたという意味で、本当にこの判決の歴史的意義は高いです。
 
業界は異なりますが、孫正義さんだってNTTドコモさんを相手にあれだけのことができているのだから、私にだって「打倒・関西電力」ができないことはない。

けんか腰はイヤですけど… 健全な競争をしましょうネ。

達成したい目標を実現するため、あと10歳ほど若かったらナァ、と思うこともありますが、そこは嘆いても詮(せん)無いこと。明確な目標が出来たのって最近だし(よかった、よかった)。

健康で長生きできるようにがんばろっと。

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さて、冒頭にリンクを貼った判決文をお読みになって、あなたはどう感じましたか?

この内容を非科学的だって言う人もいるようだけど(私はそうは思わないけど)、別にいいじゃない、人は科学のしもべじゃないもん。

「安心で心地いい暮らし」を求める姿勢は尊重したいです。私も尊重してほしいから。

それでは、また!


(記事に関連して、こちらもおすすめ。NHK広島の夜久(やく)ディレクター、頑張ってますねえ。嬉しい)

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