「顧客を創造せよ」と、彼は言った

2014年11月2日日曜日

t f B! P L
前回のブログ記事を書いたあたりで、本当に大きな方針変更をしました。

次のような書き方をすると、眉を顰(ひそ)められてしまうかもしれませんが、

創業に向けた「市場リサーチ」「システム開発」「サービスの試供」「(これらのための)最小限のリクルーティング and 外注業者さんとの交渉」といった初期段階において

「出資金が集まらない」

というのは、本当に想定外でした。

元々の、長い付き合いのある知人たちに(+珍しく、親族にも)

「いま開業資金を集めているので、ご協力いただけませんか」

という話を持って行ったわけですが、けっこうな割合で”びっくりされてしまう”理由が、本当に分からなかった。
正直、今でも分かりません。

開業の方向性が定まっただけでも、私の周囲の方々には喜んでいただけると思ったのですが…。

私の場合、 Iさんのように●億円も集めるような大げさな事業じゃなく、当面は個人事業に毛が生えた程度で… と考えていますから、そんなに手広く資金調達をする必要はありません。私のパーソナリティを良く知る方々だけにお願いすれば十分、というのが普通の感覚だと思います。

(「何が『普通』として共有されているか」というのは、あくまで当事者次第です。しかし、これまで重視してきたのは

「私の考え方が『普通』ないし『合理的な』ものとして相手方に認知され、(特に、商業に無関心な方々への)具体的なアクションを促すことで、小さいながらも新たな経済循環が生まれる。これは後に続く人たちのモデルケースにもなることだから、やり抜かねばならない」

という、信念のようなものでした)

…とはいえ、イメージ通りに物事が進まない状況については、あくまで事実(fact)として受け止めることにしました。もうグズグズしたってしょうがない。

「さぁて、手詰まり感が出てきたぞ。次の一手はどうしよう?」

・・・というわけで、改めて故・ドラッカー教授に教えを乞うています。

困ったときは”基本と原則”、これに立ち返ることが大事。


ドラッカー氏はこの本の冒頭で、「企業の目的は1つしかない」と断言しています。

こうまで潔く断言されると気持ちいいものですが、それは

 「顧客を創造すること」

…これだけ。

そのためには2つの活動をしなければならない、と続きます。

 1.(顧客を創造するための)マーケティング
 2.(顧客を創造するための)イノベーション

ふむふむ。

(「企業とは何かを知るためには、企業の目的から考えなければならない」)

以前から、この本はかなり読み込んでいたわけですが、あくまでも

「海外からお客様をお迎えするにあたり、現行よりも望ましいサービス形態を創造するには」

という文脈で考えていました。

ここで、マーケティングの対象となる(見込み)顧客とは

 「海外から、日本(関西、京都)を訪れてくださるお客様」 …であり、

イノベーションとは

 「サービス提供のプロセスや事業システムの運営において、他の競合サービスとは異なる(顧客から見た)画期的なやりかたを実現すること」 …なのだと。

※ドラッカーはイノベーションの実例として「ふつうの冷蔵庫を、アラスカの人たちに”凍結防止庫として”売ること」などを挙げています。→商品は何も変わらないが、販売のイノベーション。

僭越ながら、上記2つの課題についてはさまざまな分野の専門家に話を聞いていただき、その反応から「よし、行ける!」という手応えを掴んでいます。

しかし、今回の創業のタイミングにおいては、別の側面からも考えねばならないようです。

1.「この事業への”出資者”という顧客を新たに創造するための、マーケティング活動を行うこと」
2.「その募集のプロセスを通じ、未来につながるイノベーションを起こすこと」

この2つが新たな課題、というわけです。

つまるところ、

「私の考える事業を『喜んで支援しよう!』と言ってくださる方は、どのような『ニーズ』をお持ちなのか」

「そういった方には、どこをどう辿っていけば巡り会うことができるのか」

「どういった出資金の募集方針を取り、長期的にどのような対話活動(IR活動)を行うことが”イノベーション”と言えるのか。いずれ他の地域、例えば東北地方で同様のサービスを立ち上げる際の模範となるには?」

といったことを、早くも考えなければならないようです。

うーむ、どうやら行く手には「2段階の創業への壁」が隠れていたらしい。

まったくもって、難儀やな…(お商売やるの、初めてなのに)。

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新たに考えなければならない「出資者(という顧客)」のニーズには、

「観光インフラの整備は、その事業単体での雇用創出が見込めるだけでなく、他の地域ビジネス(宿泊業、飲食業、物産業、ガイド業、交通事業、システム開発業…etc.)にもプラスの波及効果を与える。したがって、資金援助をすることで社会貢献がしたい」

といったものがまず考えられます。

しかし事業の運営者として、そういったお気持ちに応えるだけでは足りない(+物足りない)と私は考えています。

長期的に事業を継続させていくには投資家目線からのニーズ、具体的には

「(NPO法人等への寄付とは異なり)事業運営が安定してキャッシュ・フローが循環し始めたあとには、少なくともインフレ率を上回る配当金を受け取りたい」

といったご期待にも、お応えしていく必要があるでしょう。

出資金は、相手方から「贈与されたもの」ではなく「預託されたもの」ですから、誠実に運用していかねばなりません。
(とはいえ、ここで日本の法規制が邪魔をしてくるわけですが…)

イメージとして、資金募集の部分は再生可能エネルギーのための市民ファンドのような形態を想定しているのですが、こういった悩みはずっと先、試作サービスの検証を終えて

「さあ、より大きなスケール感で、本格的に事業をスタートさせるぞ!」

といった段階で、と思っていました。
まさか、市場リサーチすら終わっていない段階で課題になってくるとは。

まあ、何事も当初の計画どおりになんか行きませんね、ということで、めげずに進みたいと思います。
これからの、新たな出会いにも期待しつつ…。

今はこんな感じです。
それでは、また!

(11/04 追記)
 そうは言っても「そこまでお願い先を広げなくたって、出来る話じゃないかな」…という未練はあります。
 事業完成の喜びは、古くからの馴染みの方々とも分かち合いたいですからね。

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